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第 171 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ
日 時:2005年 10月 17日(月) 午後 16:30 〜 18:30
場 所:地球環境科学研究科 2階 講堂
発表者:平池 友梨 (気候モデリング講座 M2)
題 目:海氷と南極中層水の関係について
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海氷と南極中層水の関係について (平池 友梨) 発表要旨 :
南半球全域にわたって中層に存在している南極中層水の形成過程には、古くから2つの 主張がある。Sverdrup(1942)は海氷の融解によってできる表層水が等密度面に沿って 沈降したもの、McCartney(1977)はチリ南部で亜南極モード水が南極周極流により運ば れて形成されると主張した。近年、Santoso and England (2004)は、観測データから 中層水の等密度面と晩冬季の氷縁の位置が一致していることを発見した。また、Saenko and Wever (2001)は、大気海洋結合モデルを用いて南極中層水の形成において海氷域の 偏西風により海氷が北へ輸送されることの重要性を示した。これらふたつの研究は、 海氷と南極中層水形成になんらかの関係があることを示唆するものであり、Sverdrup 1942)の主張を強く指示するものである。 しかし先行研究は定常状態を見ており、海氷の季節変動の激しい南極海では、海氷 と中層水などの海洋内部構造との関係を明らかにすることは重要であり、そのような 研究はあまりされていない。海氷の季節変動による氷縁の位置や海氷の融解による表 層水の供給と中層への沈み込みとの関係を考察する必要がある。 本研究では、新海(1999)で南大洋と同様の季節海氷域であるオホーツク海の季節変 動を再現した海氷海洋結合モデルを南大洋へ適用し、海氷の季節変動と中層水形成 の関係につて考察したいと考えている。現時点では、モデルの南大洋への適用を進行 中であり改善すべき点が残ってはいるが、海氷の生成の初期段階をみることができる。
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