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第 168 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ

日 時:2005年 10月 11日(火) 午後 16:30 〜 18:30
場 所:地球環境科学研究科 2階 講堂

発表者:中井 剛 (大循環力学講座 M2)
題 目:SAGE2データを用いた中緯度オゾン変動の研究

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SAGE2データを用いた中緯度オゾン変動の研究 (中井 剛) 発表要旨 :

 内容: 
 地球環境の形成にとって重要な成層圏オゾンは、1980年以降、極域だけではなく、 
 中緯度成層圏においても減少が確認されている。特に、高度40km付近の上部成層圏と 
 高度20km付近の下部成層圏では、顕著なオゾン減少傾向が存在する(Wang et al., 2002)。 
 このオゾン減少傾向は、塩素化合物による人為的オゾン破壊が原因であるが、 
 下部成層圏の減少傾向には、塩素量増大と火山性硫酸塩エアロゾル増大との 
 相乗的な効果が寄与している(Solomon et al., 1996)。一方、中緯度域は、 
 極渦崩壊に伴い、冬季極渦内でオゾン破壊が進行した大気の影響も受けている。 
  
   そこで、吉倉(2005)は、力学的保存量である等温位面上におけるポテンシャル渦度 
 (PV)の分布に注目し、日本上空で観測されたオゾン量をEquivalent Latitudeで 
 分類することにより、中緯度固有のオゾン破壊と極域オゾン破壊の効果を分離しよう 
 と試みた。 
  
   本研究では、吉倉(2005)の解析を全球規模に拡張するために、SAGE2衛星観測デー 
 タを用い、同様の手法で解析を試みる。SAGE2は極めて長寿命の測器であるが、観測 
 期間中には、ピナツボ火山噴火や測器の不具合等、様々な要因の影響を受けたデータ 
 が存在する。そこで、今回の発表では、初めに衛星データの質を検討し、本研究の解 
 析に不適切なそれらのデータの除去を行なう手法について述べる。こうして信頼性の 
 確認されたデータに基づき、等温位面上でオゾン変動を解析する。 
   
   今後は、上記の座標系においてトレンドの評価を試み、化学過程を分離しつつ信頼 
 性の高いトレンド分布を得たいと考えている。 
  

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連絡先

古関 @北海道大学大学院環境科学院
地球圏科学専攻 / 大気海洋物理学・気候力学コース
mail-to:k-shunya@ees.hokudai.ac.jp / Tel: 011-706-2372