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第 129 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ

日 時:2001年 12月 10日(月) 午後 16:30 〜 18:30
場 所:地球環境科学研究科 C棟 C104

発表者:田中 潔 (気候モデリング講座 研究員)
題 目:大気場の変動に起因する黒潮流量経年変動に対する海底地形効果

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大気場の変動に起因する黒潮流量経年変動に対する海底地形効果 (田中 潔) 発表要旨 :

  
 黒潮は北太平洋における熱や物質の輸送に重要な役割を果たしており、その流量 
 変動を正しく理解することは気候変動等の研究を進展させるための重要な課題で 
 ある。本研究では、大気場の変動によって作られる黒潮流量の経年変動(周期 
 2〜3年程度)について、そのメカニズムと予測実現性を検討している。本研究で 
 特に着目する点は、伊豆海嶺等の極めて大きな振幅を持つ海底地形の起伏が、 
 大気場(海面における風応力場)の変動によって北太平洋中に励起されるロスビー 
 波の西方伝播過程に及ぼす効果である。 
  
  今回の報告では、先ず、海底地形が単純化されたモデルを用いて行った数値 
 実験の結果を紹介する。このモデルはGFDLのMOM2を基に構築したレベルモデル 
 (24層位)で、海底地形の起伏としては日本近海の主要な海嶺(伊豆海嶺や 
 シャツキーライズ)と日本南岸の大陸棚斜面のみを単純化して再現している。 
 流れを駆動する外力は風応力場の変動成分のみを伊豆海嶺の東側において、 
 人工的に3年周期・およそ1500kmのスケールで与える。 
  
  実験の結果、風応力場の変動によって励起されるロスビー波のうち、順圧モード 
 の波は海嶺を越えてさらに西方へ伝播することはほとんど不可能であった。これに 
 対して、第一傾圧モードの波は海嶺を越えて日本南岸にまで達することが可能で 
 ある。この第一傾圧モードの波が海嶺を越える際には、順圧モード及び第二傾圧 
 モードも励起される。第二傾圧モードの波については、風応力場変動によって直接 
 励起されるものは伊豆海嶺に達する前に減衰するが、伊豆海嶺上で第一傾圧モード 
 からの変換によって励起されるものは日本南岸にまで到達することが可能である。 
 比較のために行った風応力場変動の周期と領域を変えた実験を含めて、結果の詳細は 
 発表時に紹介する。 
  

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連絡先

江川 晋子 / 稲津 將 @北海道大学大学院地球環境科学研究科
大気海洋圏環境科学専攻大循環力学 / 気候モデリング講座
mail-to:egawa@ees.hokudai.ac.jp / Tel: 011-706-2298