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第 128 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ

日 時:2001年 12月 3日(月) 午後 16:30 〜 17:30
場 所:地球環境科学研究科 C棟 C104

発表者:山口 裕康 (気候モデリング講座 M2)
題 目:WOCEのP2における地球化学データの客観解析

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WOCEのP2における地球化学データの客観解析 (山口 裕康) 発表要旨 :

  
 人間活動による二酸化炭素等の温室効果気体の増加が原因と考えられる平均 
 気温の上昇といった地球規模の気候変動に対して、海洋は大きな熱容量を持つ 
 ことや温室効果気体である二酸化炭素を多量に溶かし込み輸送することにより、 
 大きな役割を果たしていると考えられているが、その輸送量は良く分かって 
 いない。WOCEのP2ライン(北緯30度線)では、北太平洋を東西方向に横切って 
 One-Timeで観測が行われ、北太平洋の循環機構を解明する上で重要な各種地球 
 化学データが収集された。(1994年1月7日〜2月10日:水産庁中央水産研究所 
 「開洋丸」) 
  
 本研究では、P2で観測されたCTD(conductivity,temperature,depth)データと 
 採水によって得られた地球化学データを元に、格子化されたデータセットを 
 作成した。さらに、CTDデータにより得られた各測点における地衡流速と格子 
 化されたデータセットを用いて、30Nを横切る化学物質のfluxを求める。 
  
 解析に先立ち、観測値に含まれる誤差を出来る限り少なくするために、観測 
 されたデータから異常値を取り除いた。採水データを水深、密度面によって 
 階級分けし、各階級における x:観測値、x’:平均値、σ:標準偏差より、 
 xーx’≧4σとなる観測値を取り除いた。 
  
 次に、採水データが水平・鉛直方向共に不等間隔に分布しているので、各地球 
 化学データが密度と高い相関を持って分布している事を考慮し、密度面に 
 おける平均値を基準として観測値のずれを線形内挿することにより格子点 
 データを作成した。これらにより、観測値そのものを線形内挿するよりも 
 現実に即した格子点データを得ることができた。 
  
 さらに、CTDデータを用いて得られた地衡流速により、30Nを横切る流量を計算 
 した。今後は、上記で求めた格子点データと地衡流速を用いて、30Nを横切る 
 各種化学物質のfluxを求めたいと考えている。 
   

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連絡先

江川 晋子 / 稲津 將 @北海道大学大学院地球環境科学研究科
大気海洋圏環境科学専攻大循環力学 / 気候モデリング講座
mail-to:egawa@ees.hokudai.ac.jp / Tel: 011-706-2298