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第 76 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ
日 時:2000年 7月 17日(月) 午後 16:30 〜 18:30
場 所:地球環境科学研究科 管理棟 2F 講堂
発表者:荒井 美紀 (気候モデリング講座 D3)
題 目:ブロッキング現象における総観規模擾乱の役割
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ブロッキング現象における総観規模擾乱の役割 (荒井 美紀) 発表要旨 :
ブロッキング現象とは対流圏中高緯度において偏西風ジェットが分流し、移動 性高・低気圧の東進を妨げる現象であり、太平洋と大西洋の同じような場所で 起こり、一週間以上の持続性があることが知られている。また、この時の典型 的な気圧場としては、分流の直下流域で北に高気圧、南に低気圧性循環を持つ 南北双極子型構造が多く観測されている。 そこで、こうした形態を持つ等価順圧渦度方程式の非粘性の解析的な定常解で あるモドン解を用いて、このブロッキング現象の生成、持続、消滅のメカニズ ムを明らかにすることを試みる。 モドン解に相当する渦度強制を与えた場合、モドン解の他に帯状流が卓越する もう一つの定常解が安定に存在する。これらの定常解に相当する流れの場に対 し、総観規模擾乱を模した微小擾乱を上流から与え、その時間平均の効果を調 べた結果、擾乱に伴う渦度フラックスによって誘起される二次流れの場から、 それぞれの定常解を維持する働きを持つことが分かった。 ブロッキングのような分流を持つ基本場に対して、このような擾乱の渦度フラッ クスの場が形成される要因として、Shutts(1983)は擾乱が基本場によって変形 することによる、擾乱に伴う渦度の収束発散によりもたらされるというeddy strainig仮説を提唱した。 しかし、この仮説の根拠となるエンストロフィー方程式を用いた説明では、モ ドン解を基本場としたいくつかの計算結果において、うまく適用出来ない場合 があることが確認された。そこで、擾乱の渦度フラックスの発散収束と E-vectorの発散収束との関係を用いて、擾乱の変形の効果を考察した。
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