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第 43 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ
日 時:1999年 10月 6日(水) 午後 4:30 〜 6:30
場 所:地球環境科学研究科 A棟 803A
発表者:西浜 洋介 (気候モデリング講座 M2)
題 目:海洋音響トモグラフィ─データ、TOPEX/POSEIDON データと2層準地衡モデルとの同化を用いた黒潮続流域の変動成分の解析
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海洋音響トモグラフィ─データ、TOPEX/POSEIDON データと2層準地衡モデルとの同化を用いた黒潮続流域の変動成分の解析 (西浜 洋介) 発表要旨 :
先行研究 Kuroshio current systemにはほぼ2つの定在的蛇行路が存在する。 1つは、144E及び150E及びに峰を持つlee-wave meander であり、もう1つは、 160E付近のシャツキー海嶺上に峰を持つ蛇行路である。 この黒潮続流はまた、2週間から2ヶ月の変動である中規模擾乱をその流域に伴う 不安定な流れである。(Kawai 1972,Mizuno and White 1983)。 また、海洋上層水温データ解析結果に示されるように季節から経年のタイムスケール の水温変動が存在することが示されている これによると、これらの水温変動の振幅の極大域は144E、150Eの2つの峰及びシャツキ ー海嶺上に位置する。 また、155E付近のシャツキー海嶺以西と以東では変動成分の伝播法が異なっており、 以西ではごく弱い東向きの伝播でありほぼ定在波となっており、以東では 強い西向きの伝播波となっている。また、この両者の振幅は同程度であり、 以東の西向きの伝播波は傾圧ロスビー波に起因すると推論されているが、以西の定在 波についてはその力学は解明されていない。(Mizuno and White 1983) また、黒潮続流域で行われた、音波の伝播速度からセクション間の水温及び 流速を計測する海洋音響トモグラフィ─(以降、OATと略す)実験によると黒潮続流域 に定在的な渦が存在していることがわかる。(Gang Yuan et.al 1999) 一方、近年の海面高度計データの解析からも(Mizuno and White 1983)と同様のことが 推論されている。(Wang and Koblinsky 1996) 本研究の目的 2層準地衡モデルとOAT,TOPEX/POSEIDON データとの同化によって黒潮続流域に おける変動成分の力学を解明することを目的とする。 一般にデータ同化における予報精度は(1)初期値(データセット)の欠損、(2)不適切な モデルの選択、によって悪化しうる。つまり、モデルが適切であったとしても初期値 (データセット)の欠損による影響が大きい場合には、同化の効果が得られない(予報 精度が悪い)ことがありうる。 本研究においては現実の海況を同化によって再現しうる初期値(データセット)を 与え、これと現実のデータを比較することによって黒潮続流域の力学をを解明する ことを目的とする。また、(2)のモデルの選択については現在の時点では考慮せず、 2層準地衡モデルに限定する。 第1回目の中間発表の内容 1. データ同化の数学的基礎とその簡単な応用を紹介する。 2. 2層モデルの諸条件に対する感度実験を行う。(同化のパラメータ等の決定) 3. 簡単な同化手法である、ナッジング法を用いてTOPEX/POSEIDONと2層準地衡流モデ ルの同化実験を行った結果を示し、OATデータ及びその他のデータと比較する。 次回の発表者 伊藤 潤一郎 (気候モデリング講座) (10/18)
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