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第336回 大気海洋物理学・気候力学セミナー のおしらせ

日 時:7月9日 (木) 09:30 - 12:00
Date :Thu., 9 Jul. 09:30 - 12:00
ツール:Zoom (Online)
Tool :Zoom (Online)

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発表者:中田 和輝(低温科学研究所/博士研究員)
Speaker:Kazuki Nakata (Institute of Low Temperature Science/Postdoctoral Researcher)
題目:南大洋におけるActive frazil及び海氷生産量マッピング
Title:Mapping of active frazil and its ice production in the Southern Ocean

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南大洋におけるActive frazil及び海氷生産量マッピング
Mapping of active frazil and its ice production in the Southern Ocean
中田 和輝 (Kazuki Nakata) 発表要旨:

 沿岸ポリニヤは、沖向きの卓越風により厚氷が沖へ移動することで形成される 疎氷域・新生氷域のことである。沿岸ポリニヤは高海氷生産域として知られ、そ こでのブライン(高塩分水)排出によってできる高密度水は、世界の中深層水の起 源水となっている。ポリニヤ域での海氷生産量はその拡がり及び薄氷厚によって 概ね決まるため、衛星マイクロ波放射計から、グローバルに薄氷(ポリニヤ)域を 検知し薄氷厚を推定するアルゴリズムの開発が近年まで多く行われてきた。しか し、それら既存の薄氷厚アルゴリズムは「海氷タイプ」が全く考慮されていない ことから推定精度に問題があった。一方、Nakata et al. [2019]は、薄氷域には、 強風時に発達するフラジルアイス・グリースアイス域(active frazil域)と、 静穏下で発達するニラス等の板状の氷域(thin solid ice域)の2つの海氷タイプ があることに着目し、両者を識別する手法を開発した。また、この海氷タイプ識 別手法を組み込んだ新たな薄氷厚アルゴリズムを作成し、薄氷厚推定の精度を格 段に向上させた。本アルゴリズムは、熱収支計算と組み合わせて行われる海氷生 産量の推定をより高精度にするだけでなく、ポリニヤ形成メカニズムを解明する 上で有用な海氷タイプ情報を取得できる。そこで、本研究では上記アルゴリズム を南大洋全域に適用し、海氷タイプ・薄氷厚・海氷生産量の一日毎のデータを 2003年-2010年の冬季(4月-11月)の間で作成した。本発表では、既存の海氷生産 量マッピングとの違いを提示すると共に、膨大な海氷生成域であるactive frazil域の形成・変動に関するデータ解析結果について報告する。  また、前々回のEOASセミナーで山崎さんがIT関連(Python)の話をしたので私も その流れに乗り、地球観測データ解析のクラウド型プラットフォームとして現在 注目を浴びているGoogle Earth Engine(GEE)の紹介を行う。数十m分解能の衛星 データをダウンロードせずとも全球規模で扱える、というその革新的なサービス は科学業界にも衝撃を与え、GEEを用いた研究は今も増え続けている。

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連絡先

中山 佳洋
mail-to: Yoshihiro.Nakayama__at__lowtem.hokudai.ac.jp
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