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第322回 大気海洋物理学・気候力学セミナー のおしらせ

日 時: 5月23日(木) 9:30 - 12:00
Date : Thu., 23 May. 9:30−12:00 
場 所: 環境科学院D201室
Place : Env. Sci. Bldg. D201

発表者:堀之内 武(地球環境科学研究院/准教授)
Speaker:Takeshi Horinouchi (Faculty of Environmental Earth Science/Associate Professor)
題目:夏季の東アジア・北西太平洋域の降水の力学:気象と気候をつなぐもの
Title:Dynamics of precipitation over summertime East Asia and the Northwestern Pacific: from meteorology to climatology

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夏季の東アジア・北西太平洋域の降水の力学:気象と気候をつなぐもの 堀之内 武 (Takeshi Horinouchi) 発表要旨:

 夏季の東アジア・北西太平洋域の総観規模の降水に関わる力学について近年行っ てきた研究を紹介し,そこから得られる気候学的示唆と展望について議論する。  夏季の東アジア・北西太平洋域の総観規模の水蒸気輸送と日々の降水帯の形成 について,衛星データおよび客観解析データを用いて調べた。その結果,(気 候学的な:平均的な)アジアジェットに乗って上部対流圏を伝播するロスビー 波に大きく影響を受けていることが明らかになった。渦位を用いた新しい診断 等により,そのメカニズムが示された。さらに,従来の総観気象学では説明が 難しかった,上層トラフの南縁や後面での降水強化について定量化し,理論モ デルによる説明を行った。  ここで得られた視点をもとに,他機関とも共同して気候学な研究に取り組んだ。 日々の降水帯の形成を支配する過程は,より長い時間スケールの場の形成に影 響を与えることが,観測的データおよび多数の大気海洋結合モデルのデータ (IPCC第5次評価報告書作成に使われたもの)に見いだされた。さらにそれが, 将来予測のモデル間の違いに影響することなどが示された。今年度より多機関 横断で,地球温暖化に伴うローカルな気候変動を「ストーリーライン」アプロー チで研究するプロジェクトが発足し,共同研究を開始した。それについても紹 介する。

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連絡先

豊田 威信(Takenobu Toyota)
mail-to: toyota@ees.hokudai.ac.jp