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第311回 大気海洋物理学・気候力学セミナー のおしらせ

日 時: 7月26日(木) 9:30 - 12:00
Date : Thu., 26 Jul. 9:30−12:00 
場 所: 環境科学院D201室
Place : Env. Sci. Bldg. D201

発表者:堀之内 武(地球環境科学研究院/准教授)
Speaker:Takeshi Horinouchi (Faculty of Environmental Earth Science/Associate Professor)
題目:「あかつき」による金星大気力学の研究
Title:Study of Venus' atmosphere with Akatsuki

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「あかつき」による金星大気力学の研究 堀之内 武 発表要旨:

金星探査機あかつきは2015年12月の軌道投入以来,観測を続けている.あかつ きは複数の波長のイメージセンサー等を持つ,金星の「気象衛星」である.発 表者はあかつきのデータを用いた雲追跡による風速推定と大気力学の研究を主 導している.本発表では,金星大気の力学に関わるこれまでのあかつきの成果 を紹介する. 軌道投入直後に,両半球にまたがる巨大な弓型の構造が発見された.これは, 山岳波であること,低緯度の高地の上に特定のローカルタイムに表れることが 明らかにされた.最近,数値モデルによる再現が成功し,出現条件が明らかに なりつつある.他にもこれまで知られていなかった様々な現象が見つかってい る.雲追跡による研究からは,赤道域の中・下層雲高度帯に,それまで知られ ていなかったジェット状の流れが出現することや,雲頂での風速の様々な変動 が明らかになった.金星大気は,自転周期が243日と遅いが,自転と同じ向きに 風が吹き,雲頂付近では約4日で一周する高速の「超回転」になっていることが 知られている.雲追跡より雲層での南北の角運動量輸送がどのように起こって いるかが明らかになりつつある.他の知見も合わせ,雲層での超回転がどのよ うに維持されていると考えられるかを議論する.

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連絡先

水田 元太(Genta Mizuta)
mail-to: mizuta@ees.hokudai.ac.jp