****************************************************************************************************************

第306回 大気海洋物理学・気候力学セミナー のおしらせ

日 時: 1月25日(木) 9:30 - 12:00
Date : Thu., 25 Jan. 9:30−12:00 
場 所: 低温科学研究所 3階 講堂
Place : ILTS, Auditorium

発表者:席 浩森(大気海洋物理学・気候力学コース/D1)
Speaker:Koushin Seki (Course in Atmosphere-Ocean and Climate Dynamics/D1)
題目:対流圏化学再解析データを用いた東アジア及び太平洋における成層圏対流圏の大気交換の研究
発表者: 谷本 陽一(地球環境科学研究院/教授)
Speaker: Youichi Tanimoto(Faculty of Environmental Earth Science/Professor)
題目:東部熱帯太平洋における大気海洋系の将来変化
Title:Future climate change in the eastern tropical Pacific

****************************************************************************************************************

対流圏化学再解析データを用いた東アジア及び太平洋における成層圏対流圏の大気交換の研究 (席 浩森、Koushin Seki)発表要旨:

成層圏と対流圏の大気交換は、成層圏と対流圏の物質分布を決める一つの 重要な要素であり、地球の大気環境にとって重要な過程である。本発表で は、自身の修士論文の発展として、化学再解析データを用いて、北半球冬 季のオゾンと一酸化炭素の輸送に着目して、成層圏と対流圏の大気交換を 解析する。JAMSTECによる化学再解析TCR-1データは、複数の人工衛星観測 データ(OMI, MLS, TES, MOPITT)の同化から推定された10年間(2005年-20 14年)のオゾン、一酸化炭素等の濃度のグローバルなデータセットである。 TCR-1データを用いて、350K等温位面における成層圏から対流圏に輸送され たオゾンの量と、対流圏から成層圏に輸送された一酸化炭素の量を算出した。 その結果、いずれの輸送量についても、3月が最も多いことが分かった。 また、2005年~2014年の期間においては、オゾンは2012年~2013年の輸送量 が一番多く、一酸化炭素については2009年~2010年以降で明らかに輸送量が 少なくなっており、2009年~2010年が最大となっていた。 次に、不可逆的な輸送をより正確に見積もるため、対流圏界面および輸送の 定義を改訂し、改めて輸送量を算出し考察する。さらに、ECMWFによる化学 再解析MACC Reanalysisデータのオゾンと一酸化炭素のグローバル濃度分布 も示し、TCR-1と比較する。

東部熱帯太平洋における大気海洋系の将来変化 (谷本 陽一、Youichi Tanimoto)発表要旨:

地球温暖化が進む中で、熱帯の気候平均場の将来変化は熱帯内のみならず 熱帯外の地域的な気候変化を考える意味でも重要な意味をもつ。熱帯太平 洋域における将来変化では、Walker循環とそれに関連する海洋表層場の東 西方向上での将来変化が大きく注目され、最近の研究成果はWalker循環の 鈍化と水温躍層の平坦化を示している。一方、熱帯太平洋の平均場では、 熱帯収束帯が北緯10o付近に位置するなど南北方向にも特徴づけできるが、 南北方向上での将来変化に対する研究は少ない。気候モデルを用いた将来 予測のシミュレーション群に基づいて、東部熱帯太平洋における気候変化 と気候変動についての解析結果を紹介する。 

-----
連絡先

平野 大輔(Daisuke Hirano)
mail-to: hirano@lowtem.hokudai.ac.jp