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第 234回 大気海洋物理学・気候力学セミナー のおしらせ

日 時: 10月 25日(木) 午前 09:30
場 所: 低温科学研究所 3階 講堂

発表者: 三原 草介(DC2)
\\Sousuke Mihara (DC2)
題名: 理想的な設定における亜熱帯反流の季節変動

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理想的な設定における亜熱帯反流の季節変動 \\(三原 草介 \\Sousuke Mihara)発表要旨 :

 亜熱帯反流は、亜熱帯循環の南半分中央表面付近に位置し、 西向きスベルドラップ流領域に存在する東向きの流れである。 Kubokawa and Inui (1999)は理想的な設定での数値実験によ り混合層フロントからの沈み込む低渦位水が亜熱帯反流を生 成していることを示唆し、Kubokawa(1999)は、その生成機構 の理論を提出した。また、White et al.(1978)より亜熱帯反 流は、季節的に変動していることが明らかになり、Takeuchi (1986)では、風応力に季節変動を与える数値実験を行い、観 測されているものに類似した亜熱帯反流の季節変動を得た。 しかし、その変動メカニズムの明確な説明は得られていない。 一方、kobashi and Xie (2012)では、観測データから、エク マン流による表層温度移流の収束が、亜熱帯反流の季節変動 に重要であると述べている。しかし、温度移流が重要ではな いことが明らかなTakeuchi(1986)の実験でも比較的現実に似 た季節変動が見られる。従って、エクマン輸送による表面温 度移流以外のメカニズムが働いていることが示唆される。  そこで、本研究では、理想的な設定での海洋大循環モデル を用いた数値実験を行いその理解を目指す。数値実験には、 風応力のみに、12月1日0時が最も強くなる1年間で周期を持 つ変動を与え、緩和温度に季節変動は与えない。  数値実験により得られた各季節の亜熱帯反流は、季節に依 らずほぼ同じ位置に存在しているように見える。しかし、東 向き流速の強さと流軸の位置は、季節により変動している。 流速の変化は風応力の変動との間に位相差が存在し、その位 相差は、Takeuchi(1986)とほぼ一致する。亜熱帯反流の強さ の季節変動を、順圧成分(鉛直平均東西流速)と傾圧成分 (鉛直平均東西流速からのずれ)に分解する。順圧成分は、 風応力の変動にしたがっているため、変動の位相は、風応力 の変動の位相と一致している。一方で傾圧成分の変動は、3 月に最も流速が強く、9月に弱くなり、位相は一致していな い。また、鉛直密度分布を見ると、亜熱帯反流領域では、3 月には密度面が最も深い位置にあり、9月に最も浅い位置に ある。それに伴い、南北密度勾配による東西シアーも変動し ており、傾圧成分の変動との関係が示唆される。  この結果をふまえ、鉛直密度分布の変動は、風応力による ローカルなエクマンパンピングが影響しているのではないか という推論のもと、解析を行った結果を発表する。

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連絡先

川島 正行 (Masayuki Kawashima)
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