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第 212回 大気海洋物理学・気候力学セミナー のおしらせ

日 時: 1月 13日(木) 午前 09:30
場 所: 低温科学研究所 3階 講堂

発表者: 岩本 勉之(低温科学研究所/博士研究員) \\Katsushi Iwamoto, Post Doctoral Fellow, ILTS
題 目: AMSR-E薄氷厚アルゴリズムによる北極海の海氷生産量マッピング \\Mapping of sea ice production in the Arctic Ocean using AMSR-E thin ice algorithm

発表者: 重光 雅仁 (地球圏科学専攻 大気海洋物理学・気候力学コース/博士研究員) \\Masahito Shigemitsu, Post Doctoral Fellow
題 目: 海洋窒素・炭素循環研究に使用するための低次生態系モデルの開発経過 \\An ecosystem model development passage for investigating oceanic fixed nitrogen and carbon

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AMSR-E薄氷厚アルゴリズムによる北極海の海氷生産量マッピング \\Mapping of sea ice production in the Arctic Ocean using AMSR-E thin ice algorithm \\(岩本 勉之 \\Katsushi Iwamoto)発表要旨 :

沿岸ポリニヤや氷縁域などの薄氷域では、冬季には大気によって熱が海洋から 奪われ、海洋表面における熱損失に比例した海氷生産が起こる。このような薄 氷域の動態と海氷生産量を把握することは、極域の大気海洋相互作用を理解す る上で重要である。そこで本研究では、北極海を対象としてAMSR-Eを用いた薄 氷厚アルゴリズムを開発した。このアルゴリズムを用いて見積もった薄氷厚分 布は、沿岸ポリニヤや氷縁域の分布をよく捉えていた。得られた薄氷厚分布に 基づいて熱収支計算を行い、海氷生産量マッピングを行ったところ、海氷生産 量は秋季には氷縁域で活発であり、特に太平洋セクタでは夏季の海氷面積が減 少するほど10月と11月の生産量が大きくなることがわかった。また、冬季の海 氷生産はボーフォート海〜東シベリヤ海〜バレンツ海の沿岸、およびカナダ多 島海で活発であることがわかった。

海洋窒素・炭素循環研究に使用するための低次生態系モデルの開発経過 \\An ecosystem model development passage for investigating oceanic fixed nitrogen and carbon \\(重光 雅仁 \\Masahito Shigemitsu)発表要旨 :

海洋における窒素・炭素循環プロセスを調べる上で、海洋の低次生態系モデルは 重要な役割を果たしている。近年、低次生態系モデルに鉄循環プロセスを陽に組み 込むための努力が精力的に行われている。これは、いくつかの海域(南極海、東部太 平洋赤道域、北太平洋亜寒帯域など)において、鉄が植物プランクトンによる一次生 産の制限要因となっているためである。本セミナーでは、鉄循環を陽に取り扱うことが できる低次生態系モデルを開発し、数少ない時系列観測点の一つである親潮域のステー ションに適用することによってモデルで表現された鉄循環プロセスの妥当性をチェック するとともに、これらのプロセスを全海洋の窒素・炭素循環研究に適用する際に必要となる 情報を提示する。また鉄循環プロセスをモデルで取り扱う際、粒子状鉄の扱いは難しい。 それは観測データが少なく、その挙動がほとんど分かっていないからである。そこで、海水中 鉄濃度観測からは得られない新たな情報を得るため、オホーツク海をテストケースとして、DSW 水深で懸濁物を採取し、その化学成分(Al,Ba,Mn,Fe)の測定を行った。その情報についても時間 があれば紹介したい。

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連絡先

水田元太
mail-to: mizuta@ees.hokudai.ac.jp