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第 203 回 大気海洋物理学・気候力学セミナー のおしらせ

日 時: 1月 21日(木) 午前 09:30
場 所: 低温科学研究所 3階 講堂 \\Auditorium, Institute Low Temperature Science (3F)

発表者:干場 康博 \\Yasuhiro Hoshiba (地球圏科 学専攻 大気海洋物理学・気候力学コース,D2 \\ Course in atmosphere-ocean climate dynamics /DC2)
題 目:理想化した河口沿岸海域における河川起源懸濁物質の堆積について \\ A basic study of suspended sediment material from river to costal ocean using a numerical model

発表者:堀之内 武 \\Takeshi Horinouchi (地球環境科学研究院,准教授 \\ Faculty of Environmental Earth Science, Assoc Prof.)
題 目:オブジェクト指向データ解析プログラミングと応用 \\ Object-oriented data analysis programming and its application

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理想化した河口沿岸海域における河川起源懸濁物質の堆積について \\ A basic study of suspended sediment material from river to costal ocean using a numerical model (干場 康博 \\Yasuhiro Hoshiba) 発表要旨 :

  海洋沿岸域における懸濁物質(海水中の泥や細かい砂)は多くの栄養塩や
微量金属を含んでおり、沿岸海域の物質循環を考える上で重要である(Wilkinson et al.,1997)。
多くは河川水からの流入や、海底からの再懸濁によって供給されている
(Binding et al.,2003; Kishino et al.,2005)。
河川から流入した懸濁物質はどのような物理プロセスで広がり、
そして海底に堆積するのだろうか。

一般に河川から海に流出した水は密度が小さく、表層にレンズのように広がる
(河川水プルーム)。広がる大きさは、河川水と海水の密度差に依存し、
地衡流調節によってバランスする。その結果、河口域には時計周りの循環が形成される。
河川水プルームの形状や物理過程は過去に数多く研究されてきた
(McCreary and Zhang,1997; Yankovsky,2000; Garvine,2001)。

今回のセミナーでは、河川水プルームの物理についてと、沿岸域の懸濁物質を
どのように扱っていくのか、自身の研究の所信表明も行う。研究の第一段階として、
理想化した地形や設定のもとで、海洋大循環モデルに懸濁物質の輸送を組み込み、
計算を行った。その結果、河川水流出方法の違いや、海水からの懸濁物質除去の
速さによって、堆積物分布に違いが出ることが示唆された。
 

オブジェクト指向データ解析プログラミングと応用 \\ Object-oriented data analysis programming and its application (堀之内 武 \\Takeshi Horinouchi) 発表要旨 :

  本講演では,大気・海洋の研究で用いるデータの構造やファイル形式について
振り返るところからはじめ,データ解析と可視化にオブジェクト指向プログラ
ミングを用いることの意義を論ずる.次いで,柔軟で優れたオブジェクト指向
スクリプト言語である Ruby によるその実践例を紹介する.さらに,それを応
用して作った,Webベースでデータの検索・解析・可視化ができるデータサー
バを構築するソフトを紹介する.以下,箇条書きでさわりを述べる.
* オブジェクト指向の効用:似たようなことをする似たようなプログラム
  を沢山書かないで済むようにできる.
* さらに,Ruby なら
  * 短い行数で素早くプログラムできる.-- ∴考える時間をより確保できる.
  * 対話的に使用可.数値データを扱う上で意外と多い文字処理も得意.
  * 世界中で開発されている様々な公開ライブラリを使って高度なサービスも
    実現可 -- 例えば今回紹介する応用例.

 In this talk, I will explain the merit of object-oriented programming
for data analysis and visualization to study atmospheres and
oceans. Then, I will introduce our libraries written in and for Ruby,
a sophisticated object-oriented scripting language. I will also
introduce software to build web-based interactive data servers.


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連絡先

堀之内 武 @北海道大学 地球環境科学研究院
地球圏科学部門
mail-to: / Tel: 011-706-2366