****************************************************************************************************************

第 182 回 大気海洋物理学・気候力学セミナー のおしらせ

日 時: 6月 19日(木) 午前 09:30
場 所: 環境科学院 2階 講堂

発表者:藤原 忠誠 (地球圏科学専攻 大気海洋物理学・気候力学コース DC2)
題 目:ドップラーライダーで検出した「つむじ風」の特性と発生時の大気境界層の気流構造

発表者:稲飯 洋一 (地球圏科学専攻 大気海洋物理学・気候力学コース DC3)
題 目:TTL水蒸気matchを用いた水平移流に伴う脱水の評価

****************************************************************************************************************

ドップラーライダーで検出した「つむじ風」の特性と発生時の大気境界層の気流構造 (藤原 忠誠) 発表要旨 :

 大気境界層には、風速や安定度に応じて、様々なスケールと形を持つ組織的乱 
 流が存在し、地表面と大気間の熱・運動量・物質の輸送の大部分を担っている。 
 晴天弱風日の対流境界層中には、「つむじ風」と呼ばれる非常に小スケール 
 (直径10〜100m、高さ100mのオーダー)の鉛直渦が発生することがある 
 (Sinclair,1969;Hess and Spillane, 1990)。つむじ風の形成には、浮力と鉛直 
 渦度が必要である。鉛直渦度の形成過程としては、(1)環境風に伴う水平シア 
 (Barcilon and Draizin, 1972)、(2)網目状構造が形成する水平渦度のTilting 
 (Kanak et al., 2000) が考えられている。しかしながら、つむじ風が非常に小 
 スケールなことと、晴天時の空間的な気流構造の観測が困難であったことから、 
 どのような気流場でつむじ風が発生しているのかを観測した事例は存在しない。 
 本研究の目的は、ドップラーライダーを用いて、様々な気流構造の中から、つ 
 むじ風を検出し、発生時の気流場の特徴を明らかにすることである。 
 その結果、つむじ風の直径30-320mであり、過去のレーダー観測と比較して、 
 概ね同程度かやや大きい傾向であった。つむじ風は、晴天弱風日の網目状構造 
 卓越時に発生する場合と、海風前線が侵入時にその前線上で発生する場合があった。 
 回転方向は、前者の場合、過去の観測と同様に、反時計・時計回り両方のつむじ風 
 が存在した。一方、後者の場合、反時計回りのつむじ風が卓越し、環境場の渦度と 
 一致した。  

TTL水蒸気matchを用いた水平移流に伴う脱水の評価 (稲飯 洋一) 発表要旨 :

 後日掲載予定

-----
連絡先

川島 正行 @北海道大学低温科学研究所
寒冷海洋圏科学部門 雲科学分野
mail-to:kawasima@lowtem.hokudai.ac.jp / Tel: 011-706-6885