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第 181 回 大気海洋物理学・気候力学セミナー のおしらせ

日 時: 5月 15日(木) 午前 09:30
場 所: 環境科学院 2階 講堂

発表者:渡辺 力 (寒冷陸域科学部門 雪氷環境分野 教授)
題 目:植生群落直上の中立境界層における乱流構造に関するLES解析

発表者:江淵 直人 (寒冷海洋科学部門 大気海洋相互作用分野 教授)
題 目:宗谷暖流の季節変動と短周期変動

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植生群落直上の中立境界層における乱流構造に関するLES解析 (渡辺 力) 発表要旨 :

 陸面の6割以上は何らかの植生に覆われており、大気運動量の吸収、顕熱・潜 
 熱やCO2の吸収・放出などの交換過程を通して大気運動や気候に影響を及ぼし 
 ている。その交換過程の最も根本的な部分を担うのが乱流である。植生は裸地 
 や海面に比べて大きな粗度を持つため、その直上の風速分布には強い鉛直シア 
 ーが形成される。このシアーが持つ歪みエネルギーが元になり、植生上の強い 
 乱流運動がひき起こされるのだが、その中には秩序だった組織構造が見られる。 
 植生上に限らず、レイノルズ数の大きな中立境界層における乱流場に組織構造 
 が存在し、それがどのようなメカニズムによって形成・維持されているのかと 
 いう問題は、近年の乱流研究のトピックの1つでもある。 
 発表者は、LES(Lerge Eddy Simulation)を用いて、理想化された植生群落付 
 近の乱流を再現することにより、組織構造の実態や形成メカニズムを明らかに 
 するための研究を、陸面−大気相互作用の素過程研究の一環として行っている。 
 本セミナーではその概要を紹介したい。 
   

宗谷暖流の季節変動と短周期変動 (江淵 直人) 発表要旨 :

 宗谷暖流の季節変動および短周期変動を短波海洋レーダ,沿岸潮位,海底設置型ADCP, 
 衛星高度計などのデータを用いて調べた.全てのデータに宗谷暖流の明瞭な季節変動が捉 
 えられている.また,季節変動とともに宗谷暖流の表面流量には5〜20日程度の周期を 
 持つ変動が存在すること,および,稚内−網走の水位差にも同じ周期の変動が存在し,宗 
 谷暖流の変動と同期していること,が明らかとなった.この短周期変動のメカニズムにつ 
 いて,海上風との関連を調べた結果,岸に沿う風によって励起された陸棚波による水位差 
 が原因であることが示唆された. 

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連絡先

川島 正行 @北海道大学低温科学研究所
寒冷海洋圏科学部門 雲科学分野
mail-to:kawasima@lowtem.hokudai.ac.jp / Tel: 011-706-6885