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第 172 回 大気海洋物理学・気候力学セミナー のおしらせ
日 時: 7月 12日(木) 午前 09:30
場 所: 環境科学院 2階 講堂
発表者:木村詞明 (低温科学研究所 寒冷海洋圏科学部門 学術研究員)
題 目:オホーツク海の海氷について衛星データから分かること
発表者:岡田 直資 (地球圏科学部門 気候力学分野 博士研究員)
題 目:20世紀気候外部強制要因の大西洋深層循環への影響
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オホーツク海の海氷について衛星データから分かること (木村詞明) 発表要旨 :
海氷の変動メカニズムを知ることは地球の気候システムを理解ために も重要である。また、海氷に覆われる海域は現場での観測が困難で観 測事例も多くないため、特に広範囲での海氷変動を知るためには人工 衛星による観測データが有用である。 今回は特にオホーツク海の海氷について衛星データから分かることを 紹介する。オホーツク海は最も低緯度に位置する海氷域であり、その 時間変動が大きい場所としても知られている。そこでの海氷域の変動 の様子を明らかにするため、マイクロ波放射計による観測画像や可視 画像を用いて解析を行った。得られた結果をもとに、海氷域の変動メ カニズム、すなわち、どこで生成され、どのように移動し、どこで融 解しているか、変動の大きさは何によって決まるかなどについてお話 しする予定。
20世紀気候外部強制要因の大西洋深層循環への影響 (岡田 直資) 発表要旨 :
大西洋深層循環はそれによる熱輸送を通して全球の気候形成に大きな影響を与 えている。過去に多くのモデル研究で人為的な温室効果気体の増加によって深層 循環が弱くなることが示された。本研究では、大気海洋大循環結合モデルMIROC3.2 を20世紀の気候外部強制要因の変動で駆動し、人為起源ならびに自然起源の外部 強制要因が大西洋深層循環に与える影響を評価した。 すべての外部強制要因を含んだ実験(FULL実験)において、大西洋子午面循環 (AMOC)最大値に1850年から1910年まで増加トレンド、1910年から2000年まで減少 トレンドが存在した。1900〜2000年のAMOC最大値の減少トレンドは内部変動と比 較して有意であった。また、温室効果気体のみ変動させた実験(GHGS実験)と人為 起源エアロゾルのみ変動させた実験(ARSL実験)に加え、太陽放射のみ変動させた 実験(SOLR実験)における20世紀のAMOC最大値の変化トレンドも有意であった。 20世紀前半の太陽放射の増加が有意な深層循環弱化をもたらしている。 GHGS実験とSOLR実験で、全球平均表面気温変化1K当たりのAMOC最大値の変化 量を比較すると、SOLR実験ではGHGS実験の7倍の値であった。これは、北大西洋 表層塩分濃度の応答の違い - SOLR 実験では北大西洋表層塩分が減少し、GHGS実 験では増加 - に原因があると考えられる。海盆間大気水輸送の変化の違いが、 この塩分応答の違いの原因の一つになっていると推測される。
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