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第 147 回 大気海洋物理学・気候力学セミナー のおしらせ
日 時: 10月 6日(木) 午後 4:00
場 所:環境科学院 C104
発表者:向川 均 (京都大学防災研究所 気象・水象災害研究部門 助教授)
題 目:成層圏突然昇温時における対流圏成層圏力学結合の予測可能性
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成層圏突然昇温時における対流圏成層圏力学結合の予測可能性 (向川 均 ) 発表要旨 :
成層圏循環の変動が対流圏循環に及ぼす影響とその予測可能性を解明すること は,対流圏循環の中長期予報の精度向上の観点から重要と考えられている.こ こでは,対流圏と成層圏の力学結合が最も顕著になると期待させる,成層圏突 然昇温(SSW)時の予測可能性について,気象庁一ヶ月予報結果を用いて行った いくつかの事例解析の結果を紹介する(Mukougawa and Hirooka, 2004: Mukougawa, Sakai, and Hirooka, 2005). まず.我々の解析により,SSW発生期の成層圏循環変動は,少なくとも2週間以 上,場合によっては一ヶ月以前より予測可能であることが示された.この長い 予測リードタイムは,対流圏から上方伝播する惑星規模波が持つ長い時間スケー ルに起因している.また,SSW のオンセット時には,成層圏循環の予測の初期 値に対する鋭敏性が極めて高くなることも示された.SSWの予測には,対流圏 界面付近での帯状風分布を正しく予測することが重要であり,それは,圏界面 付近での帯状風分布が惑星規模波の上方伝播特性に大きな影響を与えているた めであること考えられる. 一方,SSW発生直後に比較的明瞭な北極振動(AO)シグナルの下方伝播が観測さ れた2003年1月の大気循環場の力学と予測可能性についても解析を行った.そ の結果,AOシグナルの下方伝播には,SSWを引き起した波数1の惑星規模波では なく,波数2の惑星規模波の鉛直南北伝播が大きな役割を果たしていることが 明らかになった.さらに,AOシグナルの下方伝播の前駆現象について解析した 結果についても報告する.
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