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第 143 回 大気海洋圏物理系セミナー のおしらせ
日 時: 1月 20日(木) 午前 10:00
場 所:低温科学研究所 新棟 3階 講堂
発表者:須股 浩 研究員 (理学研究科 地球惑星科学専攻)
題 目:第三紀後期中新世の海洋循環〜パナマ海峡通過流の力学
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第三紀後期中新世の海洋循環〜パナマ海峡通過流の力学 (須股 浩 研究員) 発表要旨 :
現在から遡ること 500〜1000万年前の第三紀中新世の時期には、南北ア メリカ大陸を繋ぐパナマ地峡が形成されておらず、太平洋と大西洋はパナ マ海峡を通じて繋がっていた。このような大陸配置において、どのような 海洋循環が形成され、それが地球の気候システムにどう影響を与えていた のかという問題は、古海洋学や古気候学にとどまらず、海洋力学や気候力 学の観点からも非常に興味深い。 これまでの古海洋研究では、この時期にパナマ海峡を通じて太平洋から 大西洋へと侵入した低塩分水が、北大西洋高緯度における表面塩分を低下 させ、大西洋での深層水形成を妨げていたという議論がなされている。と ころが、このような問題を扱う上で鍵となるパナマ海峡通過流については、 それがどのようなメカニズムで決定されていたのか、未だ整合的な理解が 得られていない。そこで、本研究ではパナマ海峡通過流を規定するメカニ ズムについて、風成循環と熱塩循環の枠組みから説明を試みた。 大気海洋結合モデルを用いてこの時期の大陸配置を模した数値実験を行 うと、パナマ海峡を通過する順圧流量は、海峡が深い時期には東向き、海 峡が浅くなると西向きになるという結果が得られる。風成循環成分と熱塩 循環成分とに分けて、各々の海洋循環に対する効果を考えると、パナマ海 峡が深い場合には、熱塩循環成分は順圧的な流れを作りださず、風成循環 だけでパナマ海峡通過流の向きが説明される。一方、海峡が浅い場合には、 熱塩循環により海峡に西向きの順圧流が生じ、これが風成循環の効果を上 回ることにより、流れの逆転が生じると考えられる。
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