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第 116 回 大気海洋圏物理系セミナー のおしらせ
日 時: 11月 21日(木) 午前 9:30
場 所:低温研新研究棟 3 階講堂
発表者:久保川 厚 (大循環力学講座 教授)
題 目:ダイポール型Ekman pumpingに対する海洋の非線形応答
発表者:小木 雅世 (気候モデリング講座 D2)
題 目:冬季北大西洋振動(NAO)と夏季における北半球大気・海洋循環場との関係
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ダイポール型Ekman pumpingに対する海洋の非線形応答 (久保川 厚) 発表要旨 :
海洋の風による循環の水平構造は基本的にはSvedrup平衡によって説明 でき、その鉛直構造は、ロスビー波の各々の鉛直モードが西に伝播していく過 程で作られる。線形論であればすべての鉛直モードが西方に伝わった後には最 上層のみに流れが残ることになる。ではどのようにして風の影響が直接は及ば ないであろう深い層に流れが生じるのかという点は、Rhines & Young (1982) の渦位一様化理論によって説明される。すなわち、最上層のみに流れがあるよ うな状況で、2層目に閉じた渦位コンタが生じたとした場合、その内部で渦位 の一様化が起き、流れは深く浸透するということである。しかし、素朴に物事 を考えると、そもそもRhines & Young の渦位一様化理論が適用できるような 強い風の場では、海洋の初期応答自体も線形論的なものとはかなり違ってくる はずなので、例えば、閉じた渦位コンタが存在しなくても、流れは最上層のみ とは限らないのではないか、また、非線形性が効くとしても、それが相対渦度 か、伸縮項かによっても違ってくるのではないか、といった疑問が生じる。こ のようなことを念頭に、ここでは、境界の影響が及ばないような広い領域で、 北に正、南に負のdipole型の孤立したEkman pumpingにより駆動される流れの 構造の強制の強さ(非線形性)と空間スケールへの依存性を、3層準地衡流モデ ルを用いて調べた結果についてお話しする。なお、これは本木(2002: 北大地 球環境科学研究科修士論文)の発展(たいして発展していないが)である。
冬季北大西洋振動(NAO)と夏季における北半球大気・海洋循環場との関係 (小木 雅世) 発表要旨 :
冬季の大気変動を代表する主なモードの1つに北大西洋振動(NAO)がある。 冬季のNAOは、冬季における海氷や気温などに影響を及ぼすことはすでに知られている。 しかし、他の季節におけるNAOにともなう変動の研究はほとんど存在しない。 本研究は、冬季のNAOの変動によってもたらされた冬季の変動が、 夏季まで持続し変動を及ぼすことができるのかについて解析した。 その結果、冬季NAOは冬季のバレンツ海の海氷やSST、 及びその周辺地域の気温と関係があり、その影響が夏季まで持続することがわかった。 さらに、夏季バレンツ海付近の影響が、波の伝播により、 夏季に存在するオホーツク海高気圧に影響を及ぼす可能性があることがわかった。
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