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大気海洋圏物理系M2所信表明セミナー(第 4 回)のおしらせ
日 時:2000年 6月 22日(木) 午前 9:30 〜 11:30
場 所:地球環境研究科管理棟 2F 講堂
発表者:武藤 傑 (極域大気海洋学講座)
題 目:オホーツク海千島海峡付近での強い鉛直混合の役割について
発表者:神代 剛 (大循環力学講座)
題 目:大気大循環の変動に対する低層雲量の応答
発表者:江川 晋子 (気候モデリング講座)
題 目:夏季アジアモンスーンの先行シグナルについて
発表者:田中 克佳 (極域大気海洋学講座)
題 目:1998年,中国淮河流域で観測された梅雨前線帯の構造
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オホーツク海千島海峡付近での強い鉛直混合の役割について (武藤 傑) 発表要旨:
オホーツク海と北太平洋は、千島海峡を挟んで接しており、この海峡付近で 海水交換がなされている。近年の研究から、海峡付近での強い潮汐流が確認さ れており、この強い潮汐流と海峡内におけるシルとの相互作用が海水交換に重 要であると、されている (Nakamura et al,1999)。 また、この海峡付近での強い鉛直混合は、水塊形成のみならず、 オホーツク海の循環にも少なからず、影響を与えていると思われる。 そこで、本研究では3次元モデル(GCM)を用いて、千島海峡付近での強い鉛直 混合の効果による、オホーツク海の流れ場を詳しく調べる予定である。
大気大循環の変動に対する低層雲量の応答 (神代 剛) 発表要旨:
雲の放射効果は地球の放射収支を大きく左右しており,地球の気候に強く影響 している。Hartmann et al. (1992) は,全球で見ると中・高層雲に比べて低層 雲による放射強制が大きいことを指摘している。そこで,低層雲量がどのような 変動をしているのかをまず理解することが重要であると考える。 Klein and Hartmann (1993)による解析から,低層雲量の季節変化はローカル な大気の安定度に依存していることが示されているが,では,安定度は何によっ て決まっているのだろうか。また低層雲量の年々変動はどうなのだろうか。 そこで本研究では,衛星からの雲量データや大気場の客観再解析データを解析 し,低層雲量の季節変化や年々変動は何によって決まっているのか,という問題 を大気大循環の観点から明らかにしたいと思っている。また,見えてきたメカニ ズムを大気大循環モデルを使って検証するつもりである。
夏季アジアモンスーンの先行シグナルについて (江川 晋子) 発表要旨:
アジアモンスーンはユーラシア大陸と周辺海洋間の季節的な 温度差により、全球的規模で現われる大気循環系・水循環系である。 エルニーニョとの関連も研究されており、エルニーニョ年には 夏季モンスーンが弱くなると言われている。 この弱いモンスーン循環に先行する冬・春(特に3-5月)に、 亜熱帯アジア上の偏西風(200hPa)が強くなるという現象がみられ、 先行シグナルと呼ばれる。(Yang and Lau,1998)によると、 先行シグナルはNino-3領域の平年より高いSSTと、アジアの 地表面過程(雪量や土壌水分)の両方によって引き起こされている。 先行シグナルについて理解することは、モンスーン予報の観点から 重要である。簡単なモデル実験を行ない、先行シグナルの メカニズム解明を目指したい。詳細についてはまだ検討中である。
1998年,中国淮河流域で観測された梅雨前線帯の構造 (田中 克佳) 発表要旨:
梅雨は私達のなじみの深い現象であるが,その構造は時期,場所に より大きく異なり,定性的に前線帯を議論するのは難しい. 1998年6月から8月にかけてアジア地域の水,エネルギー循環の 解明のための観測の一環として中国淮河流域で 数多くの観測がなさ れた.その中で梅雨前線のメソスケールの構造をつかむために3台の ドップラーレーダーを設置した.ドップラーレーダを中国に設置し 梅雨前線帯を観測するのは初めてである. メソスケールの現象は,時として激しい気象災害をもたらすという 意味で重要であるだけでなく,さらにスケールの大きい現象に影響 を与えるという意味でも重要である. 6/29から7/3にかけて梅雨前線帯に伴う激しい降水が観測された. この期間には,ドップラーレーダーのデータの解析結果から, 高度3kmを中心に興味深い現象がみられている. 今回の発表ではこれらの現象を紹介するとともにさらに,総観場と の対応をみながら解析していく予定である.
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