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第 88 回 大気海洋圏物理系セミナー のおしらせ

日 時:2000年 11月 9日(木) 午前 9:30 − 12:00
場 所:低温科学研究所 新棟 3階講堂

発表者:竹内 謙介 (極域大気海洋学講座 教授)
題 目:熱帯太平洋の現在の状況

発表者:須股 浩 (大循環力学講座 D3)
題 目:数値モデルを用いた亜熱帯域の海洋循環の研究

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熱帯太平洋の現在の状況 (竹内 謙介) 発表要旨 :

  
 今年の夏ころ、西太平洋に暖水がかなり蓄積されました。これはエルニーニョの 
 先駆けか?とも思われました。一方、最近、Charge-discharge理論というのが何 
 人かの研究者から提唱されています。これによると、暖水の東西の移動よりも、 
 赤道域にどれだけ暖水が貯まってきたかが重要とされています。その観点からす 
 ると、あまり貯まっていない、つまりエルニーニョにはなりそうもない、という 
 結論になります。という面白い状況だったのですが、実はその後、西太平洋の暖 
 水の蓄積は解消してしまいました。という訳で多少拍子抜けのところはあるです 
 が・・・ 
  

数値モデルを用いた亜熱帯域の海洋循環の研究 (須股 浩) 発表要旨 :

  
 亜熱帯域の海洋循環の話です。 
 Luyten et al. (1983) とそれに続く一連の通気水温躍層理論モデルは、 
 海表面での密度分布と風応力により、亜熱帯域の上部水温躍層の構造 
 が決定されるとするもので、海洋循環に対する多くの知見を我々に与 
 えた。また同時に、亜熱帯域では通気されていない密度面の構造はど 
 のようにして決定されるのか、という疑問をも投げかけている。 
 西岸境界流によって流線の閉じる領域 (Western pool region)につい 
 ては、Rhines and Young (1982) がその解決への道筋を示しているも 
 のの、亜寒帯で通気されているような密度面、及び東岸境界の影響を 
 受ける部分の密度構造については未解決の問題として残されている。 
 今回の発表では、これらの問題についての研究成果を、理想的な状況 
 設定下に於ける数値実験と理論モデルの話を交えつつお話しする予定。 
  
 発表内容は以下のようなものを予定しています。 
  
 1. 亜熱帯海洋循環の理論モデルの概要 
                             〜これまでの研究の紹介とその問題点 
  
 2. 東岸境界の構造とその影響 
                        (前回の発表でお話しした部分は大幅に省略) 
  
 3. 亜熱帯一亜寒帯循環境界の構造 
  

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連絡先

石渡 正樹 @北海道大学大学院地球環境科学研究科
大気海洋圏環境科学専攻大循環力学 / 気候モデリング講座
mail-to:momoko@ees.hokudai.ac.jp / Tel: 011-706-2359