大島慶一郎
1.受け入れ可能人数:2名程度
2.専門:海洋物理学 (Physical oceanography)
      海氷・海洋結合システム (Ice-ocean coupled system)
3.現在行いつつある主な研究テーマ
A. 海氷生成による高密度水生成と中深層循環及びその変動に関する研究
沿岸ポリニヤでの高海氷生産とそれによる高密度水形成は、中深層循環・物質
循環とその変動を決める最重要な因子の一つです。係留等による海洋観測デー
タと、衛星による海氷データを組み合わせて解析することで、海氷生成が水塊
形成や中深層循環及びそれらの変動にどう関わっているかを研究しています。
 本テーマでは、南極海やオホーツク海を対象として研究してきましたが、今
後はこの研究が十分行われていないベーリング海や日本海へも展開することを
考えています。本テーマは、南極海では、日本南極地域観測隊の重点観測プロ
ジェクトにも関わっており、また海鷹丸・白鳳丸による観測なども計画されて
います。海氷やポリニヤの解析には、新しい衛星観測データも非常に有効であ
り、解析すると新規な情報が得られるデータがまだまだ眠っています。
B.オホーツク海における、観測・リモセン・モデル統合研究
低温研では、オホーツク海に関しては、国際プロジェクト研究により多くの観
測データの蓄積があります。宗谷暖流域では、12年前より海洋レーダーが設置
され、長期連続ADCP観測も行なわれ、日本近海でも最も海洋データが整備され
つつある海域となっています。また、ワシントン大学との共同による海氷検知
型酸素センサー付プロファイリングフロートの観測や、バイオロギング観測
(海獣にCTDセンサーを付けて観測)を行っています。このようにデータが十分
に蓄積される中で、海氷との関わりに注目したオホーツク海の季節変動・熱塩
収支・融氷期ブルーミングの研究や、宗谷暖流の研究(季節・経年変動機構、
対馬暖流系との関係)などに今後力を入れる予定です。
C.    北極海の海氷・海洋結合システム
温暖化の影響が最も大きく表れている北極海では、夏の海氷面積が1980-90年
代の半分にまで減少し、季節海氷化しつつあります。この10年での北極海の激
変に対してはまだ十分な理解がなされていません。この激変に大きく効いてい
る可能性がある海氷・海洋アルベドフィードバック効果を中心にして、北極海
の海氷・海洋システムとその変動の理解をめざしています。北極海では、6年前
よりアラスカ大学と共同で沿岸ポリニヤの観測研究にも取り組んでいます(深
町さんと共同)。
4.個人的研究スタンス
 観測と理論・モデルの両者をフィードバックさせながら研究を進めるのが身上(or 信条)。
5.学生への指導方針
 ある程度見通しを立てたら(ここは重要)、データやモデルをいじってみる。
研究しながら勉強する。いきなり高いハードルを設けない。まずは研究する楽
しさから、そして研究をプロダクトする(論文にする)しんどさと充実感を味
わってもらう。
* 詳しい研究の説明などは、私のHP(http://wwwod.lowtem.hokudai.ac.jp/~ohshima/)
もしくは海洋海氷動態研究室のHP(http://wwwod.lowtem.hokudai.ac.jp/kaiyodotai.html)
を参考にして下さい。なお、学生のテーマは希望・資質を勘案して決めていきますので、上記にあるものに限りません。興味がある人は、気軽に話をしに来ること歓迎いたします。
Course in Atmosphere-Ocean and Climate Dynamics